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芸術士視察ツアー(高松市) 報告(最終回)

[芸術士] 2011年12月25日

交流会は、自己紹介からスタートしました。


楽しかった高松市立美術館を出てから、次の会場までは徒歩移動です。
約10分ほどで到着したところは、アーケード商店街の中にありました。
この事業を高松市と共に中心として取り組んでいるNPO法人アーキペラゴの事務所での交流会です。


交流会は和やかな雰囲気でした。

始めに、スタッフ、芸術士、視察メンバーが、並んだ順番に自己紹介等を行いました。
事務所全体には、アーキペラゴの様々な活動の資料や展示等がありました。
一通り紹介が終わると、和やかな交流会はあっという間に盛り上がりました。


芸術士のお話は興味津々。めざすもの、園児や保育士との関係、苦労、工夫など

実は、われわれが到着した時、すでにアーキペラゴのスタッフの皆様と多くの芸術士の皆さんが待っておられました。事務所にはオードブルと飲み物も用意され、マイカップにはペンでネーム入れ、そして乾杯スタートです。会費は500円、ワンコインです。
また、われわれ以外にもこの芸術士事業関係の参加者もおられました。中には神奈川県藤沢市から来られていた芸術をキーとした保育所をつくろうと考えている方、大阪の幼稚園や保育園を経営されている学園の方も視察に来られており、この交流会で知り合いました。
今年は、芸術士関係の問い合わせや視察の問い合わせや申し込みは多かったようです。高松市の活動の情報が全国に浸透しているようです。


交流会には、おいしいオードブルとノンアルコール飲料。


情報交換、意見交換、名刺交換等が行われました。

交流会では、あちらこちらで参加者同士の名刺交換や情報交換から始まり、数人集まると芸術士事業についての意見交換や教育論などが始まり、大変有意義な時間でした。
芸術士との意見交換では、芸術士への思いや教材研究、園児や保育士との関係等、興味津々な内容でありました。皆さん、現役&本物のアーティストでした。


約2時間の交流会はあっという間に過ぎていき、芸術士派遣事業の全体像を知ることができた貴重な時間でした。


今回の芸術士派遣事業の視察ツアーは、岡山からの参加者は3名でした。

参加された皆様は、レン・ドウの専用サイトやfacebookでのご案内から申し込まれた方です。
興味ある内容、今後の活動の参考、岡山での養育(教育)を考える参考などが参加の理由と言われていました。
ツアーが終わって、解散時に参加者の方に、今日の報告的感想をお願いしましたら、後日、送っていただきました。

Mさんからの感想

今回、レン・ドウからお誘いいただき、知識の無かった芸術士という活動、教育への取り組みを拝見しました。
【川島保育所】にて
芸術士の村井さんとレン・ドウの森田さんの案内で川島保育園へ。
私が訪れる前に予想していたのは、「作品」というカタチに残るものを先生の指示の元、皆同じものを園児が一緒に創る…という授業スタイル。
ところが、見学した屋外授業では私の想像は見事に裏切られ、子供達は実に自由に、思いのままに頭の中のイメージを大人には思いもつかないような行動に移しのびのびと動いていました。
布、紙、ダンボール、絵の具、紐、ガムテープ、ストロー、土…芸術士さんの与えるさまざまなテクスチャーを使い遊びます。途中で創るテーマもどんどん代わり、話も思いのままに飛ぶ飛ぶ。絵を描き、色を塗り、紐をぐるぐる巻いて形を作り。時には創ったものを壊しながら。床も壁も絵の具がガムテープだらけ。服も絵の具でぐちゃぐちゃ。
自身の子供の頃によく創っていた、憧れのヒミツ基地もありました。
子供達の豊かな発想・創造力による創作物がいたるところに散りばめられたカラフルな園内。「教える、というよりも子供のクリエイティブな部分、好奇心を手助けしてあげる役割が近いかな」とおっしゃていた芸術士さんの言葉に納得でした。子供の生み出す世界感を邪魔せず、アートに昇華する場所。
きっと楽しい授業の思い出としてだけでなく、子供の潜在意識や記憶の中に残り幅広い考え方を育てる良いきっかけになると思います。
【活動報告展にて】
さまざまな保育所での芸術士の方々の活動記録を高松県立美術館にて拝見。
まず印象的に残ったのは、子供のいきいきとした表情と考えることの面白さ。特に私が印象に残り好きなのが、『いきもの図鑑』。
常識では思いつかない、みんなの考える想像上の生き物やその特徴に笑いがとまらず。同行しFさんと「本があれば欲しい!」と熱く語ってしまいました。
【懇親会】
懇親会でも、さまざな年代の芸術士さんに活動の詳細や、大変な点など貴重なご意見を聞くことができました。
【まとめ】
非常に面白い取り組みだと思います。
活動全体も、ぜひ記録や形に残して、伝える機会を増やしていけるよう、ぜひ県外にも広がっていけば良いと感じます。

Uさんからの感想

以前から子どもと美術の関係について、もっといろいろと知りたいと思っていたので、レッジョエミリアの幼児教育に着想を得て行われている「芸術士のいる保育所」がどういうものなのか、芸術士がどのように保育園の子どもたちと関わっているかを実際に見る事ができ、話を聞くことができて大変勉強になりました。

まず、気になっていたのは保育園での「芸術士」の存在のあり方。子どもたちはどのようにとらえているのかと思いを巡らせていたのですが…とても自然でした。子どもたちは、園内のアトリエで様々な素材をさわって思いつくままにつくったり、ダンボールに絵の具をぬりぬりしたり。自分たちの中にある他の人にはわからないだろうなにかを見ている目と、その思いにこたえるように動く手。できあがりではなく、感覚へ働きかけるような活動が印象的でした。
また、後で芸術士の方から聞いたのですが、今回見学させていただいた園では、すべりだいやなわとびや鉄棒を選ぶような感覚で、子どもたちが遊ぶ選択の一つとして、芸術士のアトリエで遊ぶようです。アトリエで遊んで、次は鉄棒で遊んで、またアトリエで遊ぶというような感覚。今日はアトリエで遊ぶけど、次の日は他で遊ぶ感覚。大変興味深かったです。
今回は一つの園と一人の芸術士さんの活動を見学させていただきましたが、他の保育園での他の芸術士さんの活動も見てみたいと思いました。

報告展では、芸術士と保育園の活動が展示されてあり、子どもたちへのアプローチの様々さに驚きました。子どもたちの想像する世界、はじめて出会うものに対する驚きとまっすぐさ、つぶやく言葉、その子にしか見えていないものたちが丁寧にひろいあげられていて、やわらかく素敵な空間になっていました。

懇親会では芸術士の方々から現場のお話を聞いたり、視察された方からお話を聞けたりと充実した時間を過ごせました。特に印象的だったのが、案内してくださった方のお話にあった「子どもがハイテンションだと思った日は芸術士が来ていた日だった」ことと、事務局の方の「私だって、泥だらけになりたかったなあと思う、きっとなにかが違うと思う」でした。たしかに、泥だらけになったり、絵の具だらけになってみたかった。大人になるうちに勝手にできてしまう枠を、いとも簡単に越えられる子どもの頃にしておくと、将来の世界の見え方と感じ方を変えてくれそうです。

すぐに成果が見える活動ではないからこそ、確認したいことはいっぱいありましたが、泥だらけになったり、絵の具をぬりたくったり、さわったり、発見したり、自分だけの想像の世界に没頭できる時間を持った子どもだちが、どのように育っていくかがとても楽しみです。

以上が、今回の芸術士視察ツアー(高松市) 報告です。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

ツアーから早くも約10日経ちましたが、いろいろなことを知ることができ、勉強なりました。
次世代、地域を担う若者に成長する園児たちに対して、大人がどのように責任ある関係をつくるかを、真剣に考える時期に来ていると思います。
それは、行政や民間という立場を超えた共通の信念(明日を担う子供たちの将来のために)に基づいた行動を始める時期でもあります。
一般社団法人 レン・ドウでは、この芸術士事業をさらに研究&参考にして、われわれの住む岡山でどのように動いてくかをこれから検討しようと思っています。


この報告を読まれて、芸術士活動に興味をもたれた方、そして幼いお子様の将来や岡山の将来を考えている皆様のご意見・感想をお願いします。

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